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【#1】自分で考えてみる日常 

経済部 シニアエコノミスト

「アナリストの1日」とは?  リサーチ、分析、レポート執筆……アナリスト活動といっても、そのスタイルは人それぞれ!?想像ができそうでできない、アナリスト・エコノミストの1日をご紹介します。


Q:一般的な1日の仕事の仕方を教えて下さい。



A:朝も昼も夜もデータまみれ!

は7:30、遅くても8:00には1日の業務を始めます。

といっても、経済ニュースや新聞などは、朝起きてからすぐチェックしていますし、必要があれば、ネットで即検索しています。


午前から正午過ぎまでインプット、午後はアウトプットという時間割りです。

担当地域について、前日、またはその日に発表された経済指標、財政・金融政策などを把握します。各種のニュースや発表された統計資料などに目を通しつつ、そのポイントをおさえます。


情報収集の中でも、日々の生活の中からも、疑問や課題のヒントを見つけられるように目配りしています。大きな話(マクロの話)は、実際の自分達のビジネス・生活の話の先のあるものですので。その一方で、大きな話になると、日常生活から離れたものになるので、そのバランス感が重要になります。


13:00からDU(※)が始まるので、その前までにデイリーのニュースレターのための情報整理をできるだけ終わらせます。


※DU:Daily Update「デイリー・アップデート」…毎営業日、SCGRアナリスト・エコノミストが、持ち時間各3分で日々のニュースをアップデートしていく会議。


DUでは、各アナリスト・エコノミストが世界の政治・経済情報を共有しています。各国・地域の重要な出来事を、夕刊や翌日の新聞よりも早く知ることができます。また、報じられていない出来事の背景なども知ることができます。気になることがあれば、担当者に直接聞くこともできます。


午後は、レポートやプレゼン資料の作成などにあてることが多いです。

プレゼンは、その時々のタイムリーな経済の説明が求められることが多いので、準備期間が数日または数時間と短期間で準備することも多いです。


月次でコモディティ担当を軸にレポ―トをまとめていますが、そちらは紙面が限られ、要点のみをまとめているので、それをベースにレポートにしているものが多いです。その時には、補足説明を加えているので、2~3倍の分量になってしまいます。また、書き切れなかったことや、端折ったことなども含めて行間を埋めるようにしています。


そのほか、貿易や為替相場などの世の中の関心が高そうなトピックについて、分析を進めています。


業務終了後、新聞やネットなどでの情報収集や、昼間の作業中には読めない資料や本などを読んで、1日が終わります。それでも、やらないといけないと思うことをなかなか消化することができません。


【出社とテレワーク】

出社しているときには、周りの人と雑談することも多いです。

雑談なので、どうでもよい話も少なからずあるのですが、さりげなく、普段よく分からない政治・経済情勢などを聞いています。リフレッシュするための貴重な時間です。


テレワークのときは、集中して作業を行えることもあって、17:00~18:00頃に一旦業務を終わらせることを目指しています。残念ながら、繁忙期には、作業時間がもっと必要になります。



Q:インプットの部分で、どのようなことに気をつけ、どれだけの時間を割いているのですか?



A:

1次情報の重要性

ニュースは出来事を知るきっかけであり、おおよその概要をつかんでから、元の発表資料にあたります。何が決まったのか、何が書かれているのか、という元の発表資料(1次情報)を見ることが重要です。


誰かが書いたニュース・レポートという点で、すでに何かしらの価値観・バイアスが入っているので、できる限り元の情報をあたることを大切にしています。


統計資料ならば、統計局などの省庁や中央銀行など、それぞれの発表元をあたる。そうすると、報じられていないものの、統計の作成上、重要なことが書いてあったりするので。


ただし、統計は数字が発表されているだけのことが多く、その行間を読み解くことが重要になります。複数の統計、それが表す現象、それを解釈する上でのロジックを使って、その現象を説明する。そして、今後どのように動いていきそうなのかを考える。


その行間を読み解いて、それが何を意味するのか、自分達にとって重要なのかを考える。

ニュースレターを作る上では、午前中が調べもの時間です。しかし、それだけでは、レポートをまとめる上で、情報が不足している部分について、午後に調べています。



【レポート執筆は何のため?】

レポートをまとめるときには、「考える」という作業が前提になります。どのようなテーマで、どのように話を進めるのか、自分で考える。考えるためにレポートをまとめているとも言えます。


もちろん、ある程度考えて書いている中で、別の考えが思い浮かんだり、表現を換えたりと、試行錯誤の連続です。


レポートもプレゼンも、その経済現象のエッセンスを考えてわかりやすく伝えるためのもの。そうした作業は重要で、積み重ねていかなければ、いつまでたっても成長しないので。

あと、いかに受け手に伝わるように書くか、ということも重要です。


ただし、受け手といっても、様々なので、ある程度的を絞らざるを得ません。その受け手に伝わるように。


だから、その訓練の場として、できるだけレポートなどを書く機会を多くするようにしています。



Q:英文記事のリサーチ、どのくらいの割合ですか?



A:海外の中銀や統計は、英語で見ないといけないので、それは見ています。

英語以外ならば、翻訳で。


このときに、ニュースで報じられているようなことが、発表元がどのように話しているのか、などをチェックしています。違う英語なのに、日本語訳が同じこともありますので。本来違う言葉を使っているならば、そこには異なるニュアンスがあるはずです。考えすぎもよくないのですが。



Q:レポートにする際、留意していることはありますか?



A:日本語で適切に書くこと、論理的なこと。そして何より、できれば面白い視点であることです。


主語と述語の対応、接続詞の使い方など基本的なことから、どこに読点を打つか、漢字にするか平仮名にするか、熟語にするかしないか、レポート全体の見え方にも気を使っています。


例えば、「増加し続ける」、「増加しつづける」、「増え続ける」、「増えつづける」、「ふえつづける」と、表現によって堅さや見え方が異なります。時と場合によりけりで考えています。


しかし、その部分が社内チェックの段階で、修正されて返ってくることも多いですが……。

また、経済のレポートを書くときは、経済のロジックに沿った内容にすること。日頃、新聞やビジネスを読んでいればわかるように。書いてあることはもちろん、その行間に表れていること、背景にあることが分かることが大切です。


そして、面白いこと。


そうした見方、視点があるということから、何かしらビジネス上での気付きにつながるように、と思っています。


また、説明する人にもよりますが、見逃している点がないか、重要度の評価を見誤っていないかという点にも注意しています。


実際にビジネスをしている人は、自分の担当業界などの景況感を分かっています。しかし、それがその業界特有ものなのか、他の業界・国・地域に共通しているのか、そして見逃していることはないのか、という点が気になる点の1つです。


また、実際にビジネスをしている人は、経済環境の中のプラス・マイナス要因で重要なものとそうではないものを分かっています。しかし、その重要度を見誤っていないか、という点も気になる点です。


自分の見方を確認してもらう上で、第三者の視点から情報を提供する意義があります。そうしたことも意識しています。



Q:データをどのように扱っているのですか?



A:データベースも一部では使っていますが、ほぼ自分で元データをダウンロードしてエクセルで作成しています。

それらの多くは、公開情報です。自分のプライベートPCでも再現しようとすれば、ネット環境に繋がっていればできます。


特殊な情報ソースなどは、ほぼ使いません。


データや情報を集めることも重要ですが、それをどのように解釈して、どのように使うのかが重要です。



Q:アナリストに必要なこととは?



A:勉強すること。何の仕事でも同じですが、自分の知識と技を高めるため、勉強し続けることが欠かせません。

あと、周囲の人と適時、コミュニケーションをとること。


作業だから1人でできるのでは……とよく言われますが、そういう部分があることは事実ですが、それだけでは成長はしません。


自分とは異なる視点を持つ人の話を聞いてみると、想定しなかったこと、知らなかったことも分かります。その中で、新しい考えを思いついたり、課題を見つけたりすることができます。出社時の雑談の中でも、話しながら、別のことを考えていたり、思いついたりしています。


それらについて、自分でまた調べて勉強してみる。


1人で作業を進めて、自分自身は満足するかもしれませんが、独りよがりな考えになってしまったり、周りから求められる内容にならなかったりするので。



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