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  • 執筆者の写真SCGR運営事務局

【#2】アナリストとしての背景~遥かな世界への興味は兄の世界地図帳から

経済部 シニアアナリスト

モザンビーク北部を飛行機から写した写真。水平線が見えている。
2018年、モザンビーク北部にて機内より撮影

遥かな世界への興味は兄の世界地図帳から

3歳頃から、8つ年上の兄が使用していた地図帳に強い興味を示していたそうです。世界地図を眺めながら世界にはさまざまな国があることや、まだ見ぬ風景、自然環境に思いをめぐらせていました。そんな幼少時代でしたので、将来は理科や社会の学校教員になるのかなと漠然と思い描いていました。


大学在学中にはインドネシアへ渡り、大学院時代にはバングラデシュでインターン経験を通し、そこで触れた新興国の開発コンサルタントなどの職種にも興味を持つことになります。就職活動を進めるに従い、自分の芯は、「日本や日本企業の国際的なプレゼンスを高めるためのグローバルな仕事がしたい」ということにあるとの認識を高めながら、それが実現できる組織へコミットできるよう活動していました。



JETROでの経験

その結果選んだのは、日本貿易振興機構(JETRO)というフィールド。そこでは一貫してアフリカやアジアなど新興国のビジネス支援に従事していました。ダイナミックに進化していく新興国の状況と日本企業とのかかわりを目の当たりにし、2015年から6年間に渡る南アフリカのヨハネスブルクでの駐在によって、自らのミッションについての思いを、さらに強くしていくことになります。


南アフリカのほかにもモザンビークやナイジェリア等、駐在中にアフリカ20カ国を訪れ、現地で経験したことは、偶然も含め、自分の思いを叶えていくのに合致する条件が揃っていたように思います。世界地図を俯瞰すれば、日本とは距離も価値観もカルチャーも最大限に遠いアフリカに身を置くことで、日本企業にとってのビジネスチャンスと共にリスクが多く存在すると肌で実感しました。駐在中は、業務の傍ら南アフリカのプレトリア大学でMBAの取得を目指しましたが、日本人は学年でたったの一人*。言葉や孤独と戦いながら、所定の時間やレポートの提出期日を守ることなど、地味ながらも周囲の仲間に信用してもらえるように、自分のできることをアピールして「日本人ブランド」を上げると共に、一方で自らの殻を破る(Move out from comfort Zone)ことにフォーカスし、夢中で学び吸収していたように思います。当時の経験は、知識の幅を広げることのみならず、欧米ともアジアとも違うアフリカならではのダイバーシティを学んだことから、結果として自身のダイバーシティの感覚も広がりました。今後はアフリカを軸に仕事や研究を続けていきたいという決意も生まれました。学んだのはアフリカの小さなフィールド、でもそこで展開したことや学んだことは、自身の礎となり、今でも大事にしています。

(*プレトリア大学のビジネススクールでは、日本人としては2人目の卒業生となりました。)



アウトプットの意味とマイ・ルール

アフリカの政治経済を調査し、アウトプットする上では、欧米やアジアなど他の地域の動向もおさえておく必要があります。当然のことながら、アフリカ諸国で起きていることを理解するためにはアフリカ内の情報のみで完結することはなく、ほかの地域やマーケットの専門性を有するアナリスト・エコノミストとの情報交換や交流が欠かせません。情報は生ものであり、時差も加味すると、24時間インプットをする体制にしておく必要はあるものの、日々の仕事のサイクルの上では毎日の社内定例ミーティングである「Daily Update」での発表(=アウトプットのひとつ)を行うまでの午前中が勝負と思っています。95%以上海外の情報源(英語、場合によってはポルトガル語、フランス語)をインプットし、素早くネタごとに情報を整理。情報は一旦まとめたものを、機械翻訳も活用しながら日本語に変換して方向性を参照し、その後掘り下げたり広げてたりしていく価値のある情報か精査しながら、「今日アウトプットすべき」と判断した情報を簡潔にまとめていきます。


日本人向けにアウトプットをしている以上は、日本語の表記や表現にも気をつかっています。海外の情報源も、欧米の情報に偏りすぎないように、例えば中東、中国など他地域の媒体にも目を通します。報道記事のみならず、オリジナルの情報に立ち返り確認することはもちろん、自らのアウトプットの際には極力内容や表現に特定のバイアスがかからないように注意しています。

そのようにして、ビジネスにも重宝されるような、展開に値する情報を自律的に発信することで、私の情報を受けた方々からの鋭い指摘や照会を受けることも増えてきました。そのような逆コンタクトは、「誰宛ての、何のための」情報なのかというベースに立ち返り、どんな情報が求められているのかを認識し、また新たな視点に出会う貴重な経験となります。これらを踏まえて、アウトプットのさらなる質の向上に心を砕き、同時にその量も確保することが、アナリストの活動としては重要だと思います。情報は、日本の報道媒体が出すよりも一足先に出すこと、日本のメディアで情報が展開された際には、自分の確認用としてその内容を利用することもマイ・ルールとして設定しています。



サブサハラ・アフリカに心を込めた調査を

振り返ってみると、今までの経験が自然につながって来たことで、今、サブサハラ・アフリカを中心とした形で調査活動ができていると思います。南アフリカ駐在での体験により培ったマインドは、アナリストとしてどのような側面や切り口であっても生かしながら活動をしていきたいと思っていますが、自分の現在のミッションは「SCグループのビジネスに寄与する情報を展開・発信する」こと。サブサハラ45か国を網羅する専門家と名乗るにはまだ道半ばですが、SCGRでのサブサハラ担当はたった1人私だけ。猛勉強は必要ながら、政治経済の双方を1人でカバーすることによって得られる発信の質向上の相乗効果や、専門性についての周囲からの信頼感も日々実感しています。今までの自らの軌跡を振り返りつつ、世界地図に心躍らせていた3歳の自分の想いに応えられるよう、アフリカを縦横無尽に語れる専門家を目指してこれからも邁進していきたいと思います。




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リサーチ、分析、レポート執筆……アナリスト活動といっても、そのスタイルは人それぞれ!?

想像ができそうでできない、アナリスト・エコノミストの1日や思いをご紹介します。

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